“神さまの言うとおり”

みんな盛り上がってる?

自分で聞いて自分で答えた。

盛り上がってたらこんなとこにはいないよ。

狂騒が目の前に広がって、私の心は反対に静寂、静寂ですらない、退屈で怠惰。

考えることを辞めた人間について行く人間は見ていると酷く辛い。

ステージの上はそこまで眩しいか。

ちゃんと私を見ておくれよ。

神さまの言うとおり。

始まりは誰かを傷つけるためだったか。

意趣返しのような不純。

不純な理由で始めたものほど、長く続くとはよく言ったものだ。

こちらが勝手にがなり続ければ「良い声だね」と褒められた。

都合の良い声だね、の間違いだろう。

傷つける相手が喜んでいる、趣味の悪いサドとマゾ。

全くもってつまらないから、笑ったふりをした。

神さまの言うとおり。

お酒を飲んで大暴れ。

これだけは昔から辞められない。

リミッターを外すのではなくて、リミッターが外れている言い訳を作れば良いと気付いた。

今日もパーティに向かう。

話しかけるまでは話しかけるな。

こんなに私が楽しい理由を、お前は知らないだろう。

神さまの言うとおり。

詰めが甘いと言われた。

何を詰めればいいのかわからないのでその辺に落ちていた泥のようなものを詰めたら、これで良いと褒められた。

褒められる理由は全く理解できないが、理解できない人間といた方がまだ心地よい。

私のことを理解している人間がこの場所にいたら、そいつはサイコ野郎。

サイコ野郎は馬鹿野郎。

どこを探しても見つからない。

レモンサワーは塩の味。

神さまの言うとおり。

いつものように雲の上。

大好きなコントで芸人が「客は宇宙服を着ていると思え」というボケがあった。

ボケじゃないじゃないか。

宇宙服を着た宇宙人は、なんでこっちを見ているのだろう。

苦しい、息が出来ない。

呼吸をするために上を見上げたら少し楽になった。

誰もいない方が、息はしやすいんだった。

神さまの言うとおり。

焦燥。

焦燥、諦め。

焦燥、諦め、苛立ち。

焦燥、諦め、苛立ち、諦め。

焦燥、諦め、苛立ち、諦め、ちょっとの希望。

神さまの言うとおり。

明日が最後らしいが、いつから始まったかわからないものに最後も何もないだろう。

いつものような悪態が、なぜかみんなを笑わせた。

どうしてもと言うから、拘りもないので終わらせてやろうというのに、失礼だな。

なんとなく付けた最終回の名前は、なんとかガンダムのサブタイトルみたいだった。

信じるものは救われるが、信じきるには頭が邪魔だった。

面倒だったので、サイコロを転がして行く先を決めていた。

考えてみればサイコロが意思を持たないなんて誰が言えたろう。

運も運命も存在しない、過程と結果でこの世は出来ている。

それでも起きた出来事に、納得が出来なかったりどうしても意味を持たせたいなら。

お馴染みのあいつのせいにすれば良い、とマックで女子高生が言っていた。

“言うとおり、神さま”